翻訳後修飾としてのチロシン硫酸化

 この研究も、研究室の大きな柱です。ゲノムプロジェクトの結果より、予想されたヒトの遺伝子の数は、2万前後と当初予想されていた10万個以上から比べると極めて少ないものでありました。そこで、ヒトを始めとした生物は、翻訳後修飾などにより少ない遺伝子からより多くの多様な機能を持ったタンパク質を生合成していると考えられています。このような観点から、タンパク質チロシン硫酸化も、タンパク質の生理機能調節や多様化に関与していることが考えられます。そこで、これに関わる硫酸転移酵素の諸性質を明らかにしました。さらに、本学フロンティア科学実験総合センターの剣持直哉教授との共同研究により、遺伝子をノックダウンしたりしてその機能の重要性を明らかにしています。また、この酵素のタンパク質工学への応用等にも力を入れています。最近、九州大学の角田佳充准教授との共同研究でこの酵素のX線結晶構造解析に成功しました。実に見事にこの酵素はタンパク質をくわえ込み、活性硫酸との出会いをしていることが見えるようになりました。

チロシン硫酸化、TPST
図.翻訳後修飾としてのチロシン硫酸化
チロシン硫酸化、ゼブラフィッシュ、TPST
図.ゼブラフィッシュの全て(3種)の硫酸転移酵素の遺伝子をノックダウンすると胚発生が異常となり、死に至る

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